『トイ・ストーリー』の制作初期段階において、ウッディは現在のような心優しいリーダーではありませんでした。1993年にピクサー社内で作成された初期プロット(通称「ブラック・フライデー・リール」と呼ばれるテスト映像)におけるウッディは、アンディの部屋で他の玩具たちを恐怖で支配する冷酷で皮肉屋の腹話術人形でした。
しかし、ディズニー上層部から「あまりに主人公として好感が持てない」と酷評され、映画の制作自体が一時凍結される危機に陥ります。監督のジョン・ラセターらは脚本を抜本的に見直し、ウッディを「腹話術人形」から「背中の紐を引くと声が出る布製のカウボーイ人形」へと変更しました。
この仕様変更によって追加されたのが、旧式のおもちゃらしい固定音声ギミックです。アナログでどこか間抜けな録音ボイスが流れることで、ウッディの持つ「最新ハイテク電子玩具(バズ・ライトイヤー)に居場所を奪われそうな旧時代の遺物」という切ないペーソスと親しみやすさが劇的に際立つことになりました。「俺のブーツにゃガラガラヘビ」というナンセンスな決まり文句は、ウッディというキャラクターが持つ歴史と哀愁を象徴する重要な演出ツールとして機能しているのです。