爪の表面に現れる細かな縦方向の筋は、皮膚科学的には「爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)」と呼ばれます。人間の爪は根元にある「爪母(そうぼ)」という組織で作られ、爪先に向かって押し出されるように成長します。この爪母の働きが何らかの理由で乱れたり不均一になったりすると、爪の厚みにムラが生じ、光の当たり方によって縦方向の筋として浮き上がってくるのです。
爪甲縦条の最も代表的な要因は「加齢(エイジング)」と「乾燥」です。肌にしわができるのと同様に、爪も年齢を重ねると水分保持力と皮脂分泌量が低下します。一般的には40代前後から目立ち始めますが、日常的な手洗い頻度の増加やアルコール消毒、除光液の過度な使用によって、爪の水分量が健全な基準値とされる12〜15%を下回ると、年代を問わず誰にでも縦線が発生します。
しかし、原因は乾燥だけにとどまりません。爪の主成分である「ケラチン(硬質タンパク質)」の合成が滞る極端な栄養不足や、自律神経の乱れ、睡眠不足による末梢循環障害も、爪母の細胞分裂を阻害して爪のデコボコを引き起こします。