食の第一線に立つ料理人たちは、この食べ合わせの真価をとうの昔から見抜いていた。食品・外食産業の最前線である老舗割烹の板場では、脂の乗ったうなぎの蒲焼きに刻み梅や梅肉を添えた創作料理が古くから親しまれている。
伝統の技を守る熟練の職人は語る。「うなぎの重厚な旨味と脂っこさを、梅のさわやかな酸味が包み込む。舌をリセットし、次のひと口をさらに旨く感じさせるための至高の知恵です」。現場のプロにとって、うなぎと梅干しは避けるべき禁忌ではなく、互いの味を高め合う究極の隠し味だったのだ。現在では料亭の懐石コースや高級鰻店でも、梅を使ったタレや薬味が積極的に取り入れられている。