香水はトップノート、ミドルノート、ラストノートと時間の経過とともに表情を変える極めて繊細な調合物だ。ディオールで数々の名香を生み出してきた世界的調香師フランソワ・ドゥマシーも、香水の取り扱いにおける酸化と熱への脆弱性を度々語っている。
詰め替え時に液面が激しく波立ったり、何度も空気に触れたりすると、シトラスやグリーンといった揮発性の高いトップノートが瞬時に破壊されてしまう。結果として、ボトルの底に残った重いラストノートだけが強調され、本来のバランスが崩壊した香りへと変わり果てる。
詰め替える量は、長くても1〜2ヶ月で使い切れる「5ml〜10ml程度」に留めるのが香水通の鉄則だ。遮光性の高いガラス製ボトルやアルミケースに覆われた容器を選び、直射日光と温度変化を避けて保管することが、香りの命を守る鍵となる。