田中裕子といえば、世界的な社会現象となったNHK連続テレビ小説『おしん』のヒロインとして、今や国境を越えて敬愛される大女優だ。過酷な運命を生き抜く女性の感情を細やかに表現するその技術は、日本映画界の宝と言っても過言ではない。
一方の沢田もまた、歌手としてだけでなく俳優としても唯一無二の存在感を放ち続けてきた。特に近年話題を呼んだ映画『土を喰らう十二ヵ月』では、信州の山荘で四季折々の食を味わいながら生きる作家の姿を、飾らない生身の肉体で熱演。この作品で見せた素朴な料理の手さばきや佇まいは、妻である田中の助言や、二人が長年培ってきた豊かな食卓の風景が自然と滲み出た結果だと評された。お互いのクリエイティビティをリスペクトし、押し付け合うことなく静かに刺激し合う。この絶妙な距離感こそが、互いのキャリアを深め続ける原動力となっている。