音声指導の現場やビジネススクールでの調査によると、リモートワークやマスク着用の定着を経て、多くの人が「口をあまり動かさずに話す癖」を身につけてしまっています。その結果、母音の輪郭がぼやけ、「え」と「い」、「お」と「う」の区別がつかない発音になっているケースが多発しています。
指導現場のボイストレーナーは次のように実情を語ります。
「受講生の約8割は、滑舌の悪さを舌の動きのせいにしています。しかし実際の原因を精査すると、顎の噛み締めによる母音スペースの狭小化が原因です。『あいうえお』を1音ずつ丁寧に分離して発声するだけで、翌日から会議での聞き返され率が半減する例は珍しくありません」
一方、幼児教育の現場においても、デジタルタブレットを使った視覚優先の学習が増えたことで、「耳で聞いて正しく真似して発音する」身体感覚が希薄化しているという指摘がなされています。ひらがな練習では、ただ文字をなぞるだけでなく、口の形を真似させながら大きな声で音読させることが、読解力と語彙力定着の強固な基盤となります。