球技系スポーツと異なり、個人の勝敗が直接口座残高に反映される個人競技の世界では、より剥き出しの資本主義が展開されています。
日本ボクシング界が生んだ最高傑作、井上尚弥選手の報酬推移はその象徴です。かつて国内の世界タイトルマッチの報酬は数百万円〜数千万円が通例でしたが、井上尚弥ファイトマネー詳細まとめの現場記録によると、有明アリーナや東京ドームでのメガマッチにおける1試合の報酬は推定10億〜15億円に達しています。さらに、サウジアラビア政府のエンターテインメント庁(GEA)が主導する「リヤド・シーズン」などのオイルマネーが絡む構想では、1試合で20億円以上のファイトマネー提示が現実味を帯びて報道されました。自らの拳一つで全米PPV(ペイ・パー・ビュー)市場と中東マネーを動かす様は、日本格闘技史上唯一無二の領域です。
一方、グリーン上で莫大な賞金を争うプロゴルフ界はどうでしょうか。日本人トップの松山英樹選手が積み上げたプロゴルファー生涯獲得賞金は、PGAツアー通算で5,000万ドル(約75億円)を突破。ツアー外のスポンサー料やボーナスを合算した実質的な総獲得額は数百億円に達しています。しかし、ゴルフ界の現場を取材すると、華やかさの裏にある「莫大な経費」という厳しい現実が浮かび上がります。
ツアープロの現場関係者は次のように証言します。「米ツアーを転戦する場合、専属キャディへの報酬(賞金の5〜10%+週給手当)、プライベートジェットやビジネスクラスの移動費、コーチやトレーナーの帯同費用、宿舎費などで年間最低でも6,000万〜1億円の経費が自腹で消えます。賞金を稼げなければ即座に大赤字。年収3,000万円を稼いでも手元には一銭も残らないのがツアープロの日常です」。