キャラクターの誕生日が確定することで、現実世界のファンコミュニティには巨大な熱量が生まれます。毎年、X(旧Twitter)では「#ルフィ生誕祭」「#サンジ誕生祭」といったハッシュタグが瞬時に世界トレンド1位を獲得し、ファンの手によるイラスト、コスプレ、特製ケーキの写真がタイムラインを埋め尽くします。
全国の「麦わらストア」店頭では、該当月に合わせたバースデーフェアが展開され、限定缶バッジやブロマイドを求めて早朝から長蛇の列が形成されます。記者が都内の公式旗艦店で観察取材を行った際にも、キャラクターの生誕祭当日には、痛バッグを手にしたファンがバースデーコーナーの前で熱心に撮影を行い、グッズの購入上限までレジに並ぶ姿が日常的に見受けられました。
取材に応じた20代の女性ファンは次のように語っています。
「自分の生活が苦しいときでも、推しの誕生日を祝う準備をしている期間だけは前を向ける。架空の人物だと分かっていても、年に一度、その存在に感謝を伝える日があることで人生が救われている感覚がある」
しかし、この祝祭空間には影も存在します。一部の過激なファンによるグッズの買い占めや転売行為、さらには「祭壇(集めたグッズを部屋いっぱいに並べる行為)」の規模を競い合うマウント合戦など、本来は楽しむはずの生誕祭がプレッシャーや疲弊の原因になるケースも知恵袋やSNSで散見されます。公式が用意してくれた「遊び」の枠組みをどう受け止めるか、ファンの側の健全なリテラシーが問われるフェーズに入っています。