不動明王は、サンスクリット語で「アチャラナータ(揺るぎなき守護者)」と呼ばれ、インド神話のシヴァ神の別名に由来を持つとされています。日本には平安時代初頭、弘法大師空海が唐から密教を伝えた際に導入され、瞬く間に武士や庶民の間へと信仰が広がりました。
密教の世界観において、不動明王は密教の五大明王(不動明王・降三世明王・軍荼利明王・大威徳明王・金剛夜叉明王)の中心的存在であり、そのリーダー格を務めています。明王とは、仏の智慧を体現し、正しい道へと導く強力な力を持つ仏たちの総称です。
最大の特徴は、仏教の最高仏である大日如来の化身(教令輪身)である点です。優しい説法では教えに従わない頑固な人々や、欲望や執着に囚われて悪道に落ちそうな者を、力ずくで正しい道へ引き戻すために現れた姿とされています。親が我が子の過ちを本気で叱り飛ばすような、深く激しい慈悲の表れなのです。