へそのごまを取ると腹痛は本当?黒い塊の正体とプロ直伝の安全な取り方

へそのごまを取ると腹痛は本当?黒い塊の正体とプロ直伝の安全な取り方

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「へそのごまを取るとお腹が痛くなる」という昔からの教えは、単なる迷信や子どもを脅すための方便ではなく、人体の構造に裏打ちされた医学的にきわめて理にかなった警告です。

おへそ(臍部)は、胎児期に母親から酸素や栄養を受け取っていた「へその緒(臍帯)」が脱落した痕跡です。大人の体において、お腹の皮膚の下には通常、表皮・真皮・分厚い皮下脂肪・筋肉(腹直筋など)・筋膜が存在し、その奥の内臓を保護しています。ところが、おへその底面だけはこの防壁が存在しません。皮膚のすぐ下にはわずかな結合組織があるのみで、数ミリ奥には内臓全体を包み込む「壁側腹膜(へきそくふくまく)」がダイレクトに近接しています。

この腹膜には痛覚を伝える知覚神経(脊髄神経)が網の目のように張り巡らされています。そのため、爪や硬い耳かきなどでへその底を強く刺激すると、胃や腸そのものが刺激された時と同じような、下腹部を締め付けられる独特の重い痛みが生じるのです。これが、へそのごまを取ると痛い理由の直接的な原因です。

さらに深刻なのが「腹膜炎の噂の真相」です。皮膚の表面を軽く触っただけで即座に腹膜炎を発症するわけではありません。しかし、無理に汚れを引っ掻き出して微小な傷を作ると、そこに皮膚の常在菌が侵入して急性の感染症を引き起こします。これが「臍炎(さいえん)」です。炎症が皮下深くへ進行し、万が一腹膜にまで波及した場合、激痛と高熱を伴う本物の「腹膜炎」へ移行し、緊急入院や外科手術が必要になるケースが現代の医療現場でも現実に報告されています。昔の人々は解剖学を知らずとも、経験則から「無理に触るな」という鉄則を導き出していたのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。