新日本プロレスの黄金期から現在に至るまで、リング上でのストロングスタイルと並行して、猪木氏が仕掛けるパフォーマンスは常に時代のトレンドを創り出してきました。ドーム大会やイベント会場では「闘魂ビンタ待ち」の長蛇の列ができ、何時間も並んでまで殴られたいと願う人々で溢れ返るという、前代未聞のカルチャーが定着したのです。
ビンタを受けたファンは一様に清々しい表情を浮かべ、周囲の観客からは惜しみない拍手と歓声が送られました。そこには単なるプロレスラーと観客という関係を超えた、濃密な感情の共有がありました。新日本プロレスが単なる格闘技興行にとどまらず、日本人の心に火をつけるエンターテインメントの頂点に君臨し続けた背景には、この「生身のエネルギーのぶつかり合い」があったと言えます。