北海道バター飴の源流をたどると、明治時代末期に北海道北斗市(旧・当別村)の静謐な森の中に設立されたトラピスト修道院(厳律シトー会)へと行き着きます。1896年に来日したフランス人修道士たちが、自給自足の修道生活を営む中で始めた酪農と乳加工が、すべての始まりでした。
修道士たちはヨーロッパの伝統的な技術を日本に持ち込み、日本で初めて本格的な発酵バター(トラピストバター)の製造に成功しました。この香り高くコクのある発酵バターをふんだんに使い、1950年代半ばから本格的に一般向けに販売されたのが「トラピストバター飴」です。当時、まだバターそのものが庶民にとって高嶺の花だった時代において、濃厚な乳脂肪の風味を手軽に楽しめるバター飴は、またたく間に全国的な大ヒットを記録しました。
その後、昭和30〜40年代の北海道観光ブームの波に乗り、道内の菓子メーカー各社が独自のバター飴を開発。北海道のアイコンである熊やアイヌ模様、牧歌的な風景を描いた布袋入りや缶入りのパッケージが次々と誕生しました。当時の旅行者にとって、軽量で日持ちがし、北海道の豊かな酪農文化を象徴するバター飴は、まさに「失敗しない定番土産」の筆頭として定着していったのです。