夏純子を語る上で欠かせないのが、1970年代の映画・ドラマ史に刻んだ強烈なインパクトです。当時の彼女が放っていた個性と美しさは、現在の女優界を見渡しても唯一無二の存在感を誇っていました。
1968年に日活へ入社した夏純子は、翌1969年の映画『夜をひらく 女の市場』で鮮烈なデビューを飾ります。梶芽衣子らとともに主演を務めた『野良猫ロック』シリーズ(1970年)では、既存の清純派ヒロイン像を打ち破る反逆的でスタイリッシュな女性像を熱演。日活ニューアクションの象徴として若者からカルト的な人気を獲得しました。
その後、活動の場をテレビドラマへと広げると、演技派としての評価を確固たるものにします。特に代表作として名高いのが、テレビ朝日系の名作刑事ドラマ『特捜最前線』における高杉幹子巡査(婦警)役です。男性キャスト陣が重厚な人間ドラマを繰り広げる特命捜査課の中で、凛とした知性と優しさを兼ね備えた高杉婦警の存在は、作品に欠かせない華でありオアシスでした。
さらに、『夜明けの刑事』『明日の刑事』といった現代劇から、『水戸黄門』『大岡越前』『江戸を斬る』などの時代劇、さらには情念溢れる昼の連続ドラマまで幅広く出演。どの作品でも圧倒的な眼力と凛とした佇まいで視聴者を惹きつけました。