地図上の境界線を実際に歩いてみると、そこには明確な都市機能と景観のコントラストが広がっています。境界線は主に首都高速湾岸線と国道357号線、そしてシンボルプロムナード公園の道筋に沿って走っています。
北側の港区台場エリアは、シーサイドの観光都市としての表情と、落ち着いた住宅街としての顔を併せ持ちます。「シーリアお台場」などの高層タワーマンション群が建ち並び、公立の小中一貫校である港陽小・中学校が存在するため、夕方になるとスーパーで買い物をする住民や犬の散歩を楽しむ家族連れの姿が多く見られます。住居表示が「港区」であることは住民にとってのステータス感にも直結しており、住民票の取得や地域行政は台場分室(台場区民センター)で手厚く完結する仕組みが整えられています。
一方、南側の江東区青海エリアに足を踏み入れると、住宅は一軒も存在しません。青海1丁目・2丁目は大型商業施設、オフィスビル、日本科学未来館や産業技術総合研究所といった研究開発施設が占め、3丁目・4丁目は巨大なコンテナ埠頭と物流倉庫が連なる完全な産業・エンタメ地帯です。現地で耳にする来訪者の声でも、「デックスやアクアシティは港区っぽいが、ダイバーシティやテレコムセンター周辺は敷地が広大で別物の街に来た感覚がする」といったリアルな実感が語られます。江東区の管轄地域は、観光客とビジネスマン、港湾労働者が行き交う「動の空間」として機能しているのが特徴です。