『東京喰種』の主題歌群は、単なるアニメのタイアップ楽曲という領域組みを遥かに超え、実存主義的な問いかけを含んでいます。
√Aのエンディングを飾ったamazarashiの「季節は次々死んでいく」は、フロントマンの秋田ひろむ氏が「過酷な運命に抗いながら生き続ける者たちの讃歌」として書き下ろしました。生肉で歌詞を刻んでいくセンセーショナルなミュージックビデオとともに、「つじつま合わせに生きてきた僕等」がそれでもなお前を向く姿は、悲哀に満ちた喰種たちの生存闘争と残酷なまでに同期しています。
一方、『東京喰種:re』のEDとなった女王蜂の「HALF」は、ボーカルのアヴちゃん自身が抱えてきた「自身のルーツやアイデンティティに対する周囲の視線」と、人間と喰種のハーフとして生まれた佐々木琲世(金木研)の葛藤を重ね合わせた傑作です。「白でも黒でもなく、半分であること」の痛切さと誇りを歌ったリリックは、マイノリティの苦悩を抱える現代の若年層にも強烈なエンパワーメントとして届きました。
また、österreichが手掛けた「無能」と「楽園の君」では、元the cabsの高橋國光氏による複雑怪奇なリズムパターンと美しい不協和音が炸裂。狂気と純潔が同居する独特の音像によって、理不尽な世界で愛を求める登場人物たちの精神風景を見事に描き出しています。