映画『進撃の巨人』前編・後編は、公開当時に激しい賛否両論を巻き起こしました。興行成績のデータを見ると、その反響の大きさと観客の評価の推移が克明に表れています。
インターネット上のレビューサイトやSNSで「ひどい」という厳しい意見が集中した主な要因は、以下の3点に集約されます。
- エレンとミカサの関係性の大幅な変更:原作における強固な絆とは異なり、ミカサがシキシマと親密な関係を築いているかのような描写や、性的なニュアンスを含む演出が原作ファンの強い反発を招いた。
- 現代文明の残骸と世紀末風の世界観:中世ヨーロッパ風の街並みではなく、不発弾やヘリコプターの残骸、コンクリート建造物が放置された「文明崩壊後の日本」を想起させるディストピア設定が受け入れられなかった。
- 主人公エレンの弱体化と精神的描写:序盤のエレンが壁の外に対する純粋な冒険心よりも、社会への鬱屈した不満を抱える無気力な青年として描かれ、共感を得にくかった。
一方で、樋口真嗣監督率いる特撮チームの技術力に対しては、国内外の映画ファンやクリエイターから惜しみない称賛が送られました。実際に巨大なミニチュアセットを組み、特殊メイクを施した生身の人間をハイスピードカメラで撮影して合成する「伝統的特撮と最新デジタルVFXのハイブリッド手法」は、CGだけでは出せない生々しい肉体感とグロテスクな恐怖を画面に生み出しました。
超大型巨人の圧倒的な熱気とスケール感、生身の人間を無慈悲に捕食する不気味な巨人群のビジュアルは、海外の映画祭や批評家筋からも「日本特撮映画の到達点」として高く評価されています。