ギフトや手紙のモチーフとしても重宝されるあやめの花言葉には、贈る相手を勇気づける前向きな言葉が並んでいます。
代表的な花言葉は「良き便り」「吉報」「メッセージ」「希望」「信じる者の幸福」です。この優美で前向きな花言葉の起源は、ギリシャ神話に登場する虹の女神「イリス(Iris)」に遡ります。神々の王ゼウスの使者として、天と地を結ぶ虹を渡りながら人々に吉報を届けたイリスの物語が、アイリス属全般のシンボルとして定着しました。
一方で、日本の歴史文化におけるあやめは、古来より「邪気を祓う神聖な植物」としての霊力を期待されてきました。ただしここで注意したいのは、歴史書に記された「あやめ」が、時代によって異なる植物を指している点です。
平安時代以前の文献に登場する「あやめぐさ(菖蒲草)」の多くは、端午の節句で軒先に吊るされたり湯に入れられたりしたサトイモ科の「ショウブ(白菖)」を指していました。貴族社会の美意識が成熟するにつれ、視覚的な華やかさを持つアヤメ科のあやめが観賞用として愛好されるようになり、今日のような情緒あふれる初夏の風物詩へと昇華していった経緯があります。