患者が最も警戒しなければならないのが、服薬を急激に中断した際に起こる血圧リバウンド現象(リバウンド・ハイパーテンション)です。
特に交感神経を抑制する薬剤(β遮断薬やα遮断薬など)や、血管拡張薬を急にストップすると、それまで薬によって抑え込まれていた交感神経系が一気に活性化します。その結果、心拍数が跳ね上がり、血管が強く収縮して、服薬前を大幅に上回る危険な高血圧(収縮期血圧180〜200mmHg以上)に跳ね上がることがあります。
急激な血圧変動は、脆くなった脳や心臓の血管壁に凄まじい圧力をかけます。日本高血圧学会のガイドラインおよび国内外の大規模コホート研究データによると、血圧管理が破綻した状態での脳卒中・心筋梗塞の発症リスクは、適正血圧を維持している患者の約3倍から4倍に跳ね上がることが確認されています。
「数日薬を飲まなくても体調に変化がなかったから大丈夫」という認識は極めて危険です。降圧剤の血中濃度が完全に抜け、自律神経やレニン・アンジオテンシン系ホルモンのバランスが崩れて急激な血圧上昇が顕在化するまでには、数日から数週間のタイムラグが存在します。この潜伏期間を「治った」と錯覚することが、突然の心血管イベントを招く主因です。