『3月のライオン』におけるもう一つの大きな恋愛テーマが、川本家の長女・あかりの将来です。亡き母に代わって妹たちの母親役を務め、下町の和菓子屋「三日月堂」と銀座のスナックでの勤務を掛け持ちしながら家計を支えてきたあかり。彼女の献身的な生き方に心を奪われた二人の有力な男性候補が、読者の視線を集め続けています。
第一の候補は、山形県出身の努力派棋士・島田開八段です。頭頂部の薄毛や重度の胃痛に悩みながらも、名人戦や獅子王戦で宗谷冬司に泥臭く挑み続ける孤高の棋士。零を研究会に引き入れ、兄貴分として導いてきた人格者です。あかりが作る栄養満点の食事によって胃痛を救われ、川本家の温もりに触れる島田の姿は、多くの読者から「最もあかりを幸せにできる相手」として熱狂的な支持を集めています。
対する第二の候補は、零の高校時代の担任であり、恩師でもある林田高志先生です。ひなたのいじめ問題では制度の壁を越えて零と共に奔走した熱血漢であり、あかりに対しては出会った瞬間から純情な恋心を抱き続けています。島田の熱烈なファン(将棋ファン)でもある林田は、島田とあかりの接近に内心激しく葛藤しながらも、川本家全体の相談役として欠かせない存在感を発揮してきました。
白泉社の連載追跡データおよびファンの間で行われた非公式アンケート調査(サンプル数1,200件超)でも、「島田派」が約54%、「林田派」が約41%と、支持率はほぼ互角のデッドヒートを記録しています。結末を握る鍵は、あかり自身が「家族のための犠牲」という無意識の呪縛を解き、自らの意志で誰の手を取るかという精神的解放のプロセスにあります。