近年の車両には高精細なバックカメラやパーキングアシストが標準装備されています。しかし、画面だけを凝視して駐車しようとすることこそ、ハンドル操作がわからなくなる大きな罠です。
車載カメラの広角レンズには特有の湾曲(ディストーション)があり、画面端に映る物体との距離感が肉眼と大きく乖離します。また、バックモニター画面は平面(2次元)であるため、車体がどちらにどれだけ傾いているかという「立体的な空間感覚」が掴みにくくなります。結果として、画面上のガイドラインに気を取られ、ハンドルを切るタイミングがワンテンポ遅れてしまうのです。
さらに見落とされがちなのが、フロント外輪差による接触事故です。バックモニターを見つめている間、前方の視界は完全に死角となります。後退しながらハンドルを大きく切ると、車体の前側(ノーズ部分)は旋回方向と逆側へ大きく振り出されます。隣に停まっているクルマのバンパーや立体駐車場の支柱にフロントフェンダーを擦り付けてしまうトラブルの9割以上は、バックカメラへの過度な視線集中が引き起こしています。
正しいサイドミラーの見方は、鏡面の上下を「空が3分の1、路面が3分の2」、左右を「自車ボディーが4分の1」程度に合わせることです。後輪の接地部分と路面の白線が同時に見えるセッティングにしておくことで、カメラ画面に頼り切ることなく正確な車両感覚を維持できます。