5月の鮮魚売り場を華やかに彩るのが、透き通るような白身魚の数々です。「5月が旬の白身魚一覧」を俯瞰すると、以下の魚種が代表格として挙げられます。
- マダイ(真鯛):春の「桜鯛」として珍重される定番白身魚
- イサキ(伊佐木):磯魚の王者として初夏に脂が乗る白身魚
- メバル(目張):淡白ながら上品な甘みと旨味を持つ春から初夏の白身魚
- シロギス(白鱚):初夏に向けて沿岸の砂浜に接岸し、天ぷらで無類の旨さを誇る魚
- スズキ(鱸):初夏から夏にかけて川筋から沿岸で脂を蓄える出世魚
ここで多くの買い手を悩ませるのが、「マダイ桜鯛の旬と産卵期」の力学です。マダイは水温が上昇する4月から5月にかけて、沿岸の浅場へ産卵のために集まってきます。この産卵直前のメスおよび栄養を蓄えたオスは「桜鯛」と呼ばれ、婚姻色を帯びた美しいピンク色の体表と、適度に締まった身質を誇ります。
しかし、5月中旬から下旬にかけて産卵を終えた後のマダイは、体内の脂肪やアミノ酸をすべて卵や白子に注ぎ込んでしまっているため、身がパサつき、旨味が著しく低下します。この状態の鯛は昔から「麦わら鯛(麦の収穫期に獲れる痩せた鯛)」と呼ばれ、刺身には適しません。5月にマダイを選ぶ際は、腹がブヨブヨと窪んでいないか、体側の青い斑点(コバルト斑)が鮮やかに輝いているかを確かめることが不可欠です。