「似ているようで実は全く違う」と言われる桜と梅。満開の樹木を前にして瞬時に正解を導き出すには、植物形態学に基づく3つの部位に視線を集中させるのが鉄則です。
第1の決定打は花びらの形の違いです。梅の花びらは、先がふっくらと丸みを帯びており、切れ込みは一切ありません。一方、桜の花びらの先端には、ハート形のように中央に明確なV字の切れ込みが入っています。風に揺れる花びらを1枚じっくり見るだけで、この2種は即座に判別可能です。
第2の決定打は花柄の長さ比較、すなわち花を支える軸(柄)の有無です。梅は花柄がほとんど存在せず、枝に花が直接ピトッと張り付くように咲きます。これに対し、桜は枝から20〜30ミリメートルほどの緑色をした長い花柄が伸び、その先に花がぶら下がるように咲き誇ります。桜が風に揺れて可憐に舞い、梅が枝に沿って凛と佇んで見えるのは、この骨格の違いによるものです。
第3の観察ポイントは芽の付き方と葉の出方です。枝の節を観察すると、梅は1つの節(芽)から基本的に花が1個だけ咲きます。そのため、全体としてすっきりとした端正な印象を与えます。対照的に、桜は1つの節から長い柄を持った花が3〜5個ほど房状にまとまって咲くため、枝全体がこんもりとしたボリューム感に包まれます。この3点さえ押さえておけば、迷う余地はありません。