「熱もない、喉も痛くない、検査でも異常なし。それなのに下を向くだけで水滴のように鼻水が滴り落ちる」。こうした症状に苦しむ患者の多くが、原因不明のまま放置されがちだ。しかし、病態の正体を突き詰めると、身体が備える精密な体温調節システムのエラーに行き着く。
医学的に血管運動性鼻炎は「本態性鼻炎」とも呼ばれ、アレルギー性鼻炎 違い 見分け方として最も決定的なのは「目のかゆみ」の有無と「アレルゲンの不在」だ。花粉症などのアレルギー性鼻炎では、肥満細胞から放出されるヒスタミンが知覚神経を刺激するため、激しい目のかゆみや連続するくしゃみを伴う。一方、血管運動性鼻炎はアレルギー反応(免疫異常)ではなく、自律神経の乱れ 鼻水分泌が直接のメカニズムであるため、目のかゆみは原則として現れない。
鼻粘膜には無数の毛細血管が張り巡らされており、吸い込んだ空気の温度や湿度を瞬時に調整するラジエーターの役割を果たしている。通常、交感神経が優位になると血管が収縮して鼻腔が広がり、副交感神経が優位になると血管が拡張して粘液が分泌される。しかし、寒暖差が7度以上ある環境への移動や、過度な精神的ストレス、疲労によって自律神経のリズムが崩れると、副交感神経が過剰に興奮し、鼻粘膜が充血して水様性の鼻水が蛇口をひねったように溢れ出てしまうのだ。