茨城県吹奏楽コンクールを語る上で欠かせないのが、舞台となるコンサートホールの音響特性です。長年「吹奏楽人の聖地」として親しまれてきたザ・ヒロサワ・シティ会館(茨城県立県民文化センター)の大ホールは、ダイナミックで重厚な低音の響きを受け止める豊かなキャパシティを誇ります。
対して、新時代の中核施設である水戸市民会館 大ホール(グロービスホール)は、木材を贅沢に用いた最新鋭の音響建築です。音が濁らずクリアに客席へ届く反面、各奏者のピッチの揺らぎやアタックの不揃いが露骨に露呈する極めてシビアな空間となっています。
現場を取材した音響専門家は次のように指摘します。「市民会館のホールでは、金管セクションが力任せに吹き鳴らすと音が飽和し、審査員席では耳障りなノイズとして減点対象になりやすい。一方で、各パートの音量バランスを繊細にコントロールしたバンドは、個々のソロの質感が際立ち、圧倒的な立体感を生み出していた」。どのホールで演奏するかによって、指揮者が選択すべきダイナミクスレンジとブレンドのさじ加減は大きく異なっていたのです。