「火災や引越しで卒業証書を失くしてしまった。母校にお願いすればもう一度印刷してもらえるのではないか」と考える人は少なくない。しかし、卒業証書は法的に再発行できない仕組みになっている。
卒業証書が再発行されない理由は、それが「その時代の、その校長(または学長)から、特定の卒業式において手渡された」という歴史的・儀礼的一回性を持つ記念証書だからだ。たとえば、卒業から10年後に再交付を申請したとしても、当時の校長はすでに退任しており、日付を過去に遡って当時の名義で証書を作成・捺印することは公文書・私文書偽造のリスクを伴う。現在の校長名で「10年前に卒業したこと」を記した証書を作り直すのも、制度上の矛盾を生んでしまう。
もし手元の卒業証書を紛失・汚損してしまった場合の対処法は非常にシンプルだ。対外的な手続きにおいて卒業証書の現示を求められる場面は社会生活の中でほぼ存在しない。卒業した事実を証明しなければならない状況に直面した際は、母校に申請して「卒業証明書」(学校によっては「卒業証書授与証明書」という名称の場合もある)を取り寄せれば、すべての公的手続きを問題なくクリアできる。