「片方が見えているから日常生活に困らない」と不同視を放置するのは極めて危険です。脳科学および視機能の観点から見ると、不同視のデメリットは単なる視力低下にとどまらず、心身の広範な不調へと波及します。
人間は両方の目で別々に捉えた映像を、脳内で一つに合成(融像)することで、奥行きや立体感、鮮明な視界を認識しています。しかし、左右の目から送られてくる映像のピントや大きさが著しく異なると、脳はそれらを無理やり一つに重ね合わせようとして常にフル回転を強いられます。この脳への過剰なストレスが自律神経を乱し、ガチャ目による慢性的な頭痛や肩こり、吐き気、集中力低下といった激しい不定愁訴を引き起こすのです。
さらに、脳が「左右の像を合わせるのは不可能だ」と判断した場合、見えづらい方の目からの視覚情報をシャットアウトする「抑制(よくせい)」という生体反応を起こします。こうなると、両眼で物を見る機能(両眼視機能)が著しく低下し、以下のような実害が発生します。
- 段差を踏み外す、階段を降りるときに足元が怖くなるなど、遠近感の把握が困難になる。
- 車の車庫入れや高速道路での車間距離測定が狂い、運転時の事故リスクが高まる。
- 小児期に抑制がかかった場合、視覚中枢の発達が永久に止まり、メガネをかけても視力が出ない「不同視弱視」に陥る。
見えている方の目がもう片方を無意識にカバーし続けるため、カバーしている「良い方の目」までもが過労によって早期に視力低下を起こすという負の連鎖も珍しくありません。