ネット空間に氾濫する湿気対策情報の中には、物理学的見地から見て逆効果、あるいは住宅や健康に深刻なダメージを与える誤解が数多く紛れ込んでいます。情報を選別し、有害な迷信を排除しなければなりません。
誤解①:「雨の日は換気扇を24時間強運転にしておくのが一番良い」
これは最も危険な誤謬の一つです。雨天時にキッチンの大型換気扇を強運転すると、室内の気圧が急激に低下し、サッシの隙間や通気口から外の超多湿な空気(湿度90%以上)を猛烈な勢いで吸い込みます。除湿器を動かしていない部屋に湿気が引き込まれ、壁紙の裏側や石膏ボード内部に結露を生じさせる「壁内結露」の主原因となります。調理中以外の過剰な換気扇稼働は厳に慎むべきです。
誤解②:「市販の据え置き型除湿剤を床にたくさん置けば部屋全体が除湿できる」
塩化カルシウムを使用したタンク型の置き型除湿剤は、吸湿量が高々400〜500ml程度です。これは「押し入れやシンク下などの閉鎖空間(容積1〜2立方メートル以下)」を対象に設計されたものであり、数十立方メートルにおよぶ居室全体の湿度を下げる能力はありません。広大な空間に置いても、わずか数日で満水になってゲル化し、月々の出費がかさむだけで空間湿度の低下には寄与しません。
誤解③:「室温を18度まで下げれば湿気も一緒に消えて快適になる」
室温を極端に下げると、一時的に肌の表面温度が下がって涼しさを感じるものの、家具や壁面の表面温度が室内の露点温度を下回り、見えない微小結露を無数に発生させます。これがアスペルギルス(クロカビ)やペニシリウム(アオカビ)の培地となり、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を急発進させるトリガーとなります。