あの強烈な破裂音とともに米が膨らむメカニズムには、物理学と熱力学の原理が詰まっています。ポン菓子機の仕組みは「高温・高圧からの瞬間減圧」です。
頑丈な鋳鉄製の圧力容器(通称キャノン砲)に米を密閉し、回転させながら加熱していくと、容器内部は約10気圧(約1メガパスカル)、温度は180〜200度に達します。この状態では、米粒の内部に含まれるわずかな水分が高圧によって液体のまま超臨界に近い状態まで熱せられています。そして頃合いを見計らい、レバーを叩いて一気にフタを開放すると、内部の圧力が一瞬で大気圧(1気圧)へと急激に低下します。すると米粒内部の過熱水蒸気が瞬時に爆発的な膨張を起こし、細胞壁を押し広げておなじみのサクサクした形状に膨らみ上がります。
この技術の歴史と発祥を辿ると、1901年にアメリカの植物学者アレクサンダー・アンダーソン博士が実験中に偶然発見したことが起源とされています。日本では大正末期から昭和初期にかけて導入され、戦後の食糧難の時代には、配給されたわずかな米をかさ増しして子どもたちに配る貴重なおやつとして全国へ普及しました。「ばくだん菓子」「ドン菓子」「パットライス」など地域ごとに異なる愛称で親しまれてきた歴史があります。