平幹二朗さんの突然の訃報は、放送中だったフジテレビ系連続ドラマ『カインとアベル』の制作現場にも大きな混乱と衝撃を与えました。平さんは同作で、主人公(山田涼介さん)の祖父であり、物語の鍵を握る大手不動産会社「高田総合地所」の創業者・高田宗一郎役を演じていました。
亡くなる直前まで第2話分の撮影を順調に終えており、画面越しにもその威厳ある名演が大きな話題となっていた矢先の出来事でした。制作陣は急遽、後任キャストの選定を迫られることになります。
この極めて重い役柄を引き継いだのが、同じく日本を代表する名優・寺尾聰さんでした。寺尾さんは第3話以降から代役として緊急登板し、平さんが作り上げた威厳ある役柄のトーンを尊重しながら、見事にその重責を果たしました。遺作となった『カインとアベル』の第2話ラストには、平さんを追悼するテロップが流れ、多くの視聴者が涙を呑みました。