「スーパーセルは海外の映画やドキュメンタリーの中だけの話」という認識は、現代の日本においては完全に過去のものです。日本列島でも、初夏から秋口にかけて南から暖かく湿った空気が流れ込み、上空に強い寒気が流入する気象条件が整うと、平野部を中心にスーパーセルが発生しています。
記憶に新しい代表例が、2012年5月に茨城県つくば市などを襲った国内観測史上最大級の竜巻(F3クラス)です。住宅数百棟が全半壊し甚大な人的被害を出したこの猛烈な竜巻は、関東平野で発達したスーパーセルのメソサイクロン直下で発生したことが気象庁の解析で明らかになっています。
さらに近年、各地で頻発しているのが「記録的な降雹(ひょう)被害」です。スーパーセル内部の猛烈な上昇気流の中では、氷の粒が何度も雲の上層と下層を往復しながら急速に成長します。支えきれなくなった氷塊は、直径数センチからゴルフボール大、時には鶏卵大の巨大な雹となって地表へ降り注ぎます。関東近郊の住宅街で車のフロントガラスが軒並み粉砕され、太陽光パネルや家屋の屋根、ビニールハウスなどの農業施設が壊滅的な打撃を受けたニュースは、日本におけるスーパーセルの破壊力をまざまざと見せつけました。