「キングエンジン」と呼ばれる重低音。胸の奥からドックン、ドックンと響くその音を聞いた怪人は、死を覚悟して戦慄する。だが、その正体はあまりにも情けない。実は、彼が極度の緊張と恐怖に陥った際に跳ね上がる、ただの激しい心臓の鼓動なのだ。彼自身は特殊な戦闘能力を一切持たない、どこにでもいるオタク気質な一般人に過ぎない。
なぜ彼が「地上最強」とまつり上げられたのか。秘密は凄まじい「運の良さ」と間悪さにあった。怪人が出現し、主人公であるサイタマ (ワンパンマン)が人知れず瞬殺した現場に、偶然にも毎回キングが居合わせたことによる完全な勘違いである。自ら手を下すことなく最強の称号を手に入れてしまった彼の葛藤と極限のギャップこそが、物語に極上のユーモアをもたらしている。