世紀の変わり目に発表された「ミレニアム懸賞問題」は、数学界のみならず世界中の知的好奇心を刺激し続けている。アメリカのクレイ数学研究所が掲げた7つの懸賞問題は、1問につき100万ドルの賞金がかけられていることで有名だが、その本質は金銭的な価値を遥かに凌駕する。正解に辿り着くことは、人類が知性の境界線を押し広げることを意味するからだ。
ポアンカレ予想が解き明かされて以降も、リーマン予想やP≠NP問題といった難問は、今なお世界中の頭脳を拒み続けている。クレイ数学研究所が管理するこれらの難問は、挑む者に名声を与える一方で、幾人もの研究者の半生を呑み込んできた魔境でもある。