怪異の噂とは裏腹に、建築工学や近代史の視点から見る旧笹子隧道は登録有形文化財として極めて高い評価を受けています。完成したのは1938年(昭和13年)。全長は約240メートルあり、当時の山岳道路トンネルとしては屈指の規模を誇りました。
隧道の両端に備えられた坑門(ポータル)は、重厚な切石積みとコンクリートブロックで美しく化粧が施されており、当時の土木技術者たちの高い美意識と情熱を物語っています。柱飾(ピラスター)やアーチリブのデザインは、単なる通過点ではなく「峠の門」としての威厳を漂わせています。
1997年(平成9年)、その歴史的・意匠的価値が認められ、国の登録有形文化財に正式登録されました。昭和初期の幹線道路網整備の足跡を色濃く残す貴重なモニュメントとして、現在も大切に保存・維持管理されています。