命を賭して難関コースに挑む彼らが得る対価について、世間では「数千万円の賞金が出ているのではないか」という憶測がしばしば飛び交います。しかし、報道発表資料や過去のオンエアデータが示す現実は、極めて質素かつ過酷です。
SASUKEの完全制覇賞金は、第1回から長らく一律200万円に設定されていました。唯一の例外は、史上初の元日生中継パートを含む記念大会となった第24回大会で、この時に完全制覇した漆原裕治氏には特別賞金として400万円が授与されています。ただし、漆原氏が2度目の制覇を成し遂げた第27回大会では再び従来の200万円に戻り、森本氏の制覇時も基本規定に準じた額でした。
テレビ特番の一時所得扱いとなるため、獲得時には源泉徴収および確定申告に伴う税負担が発生します。手元に残る金額は額面よりも目減りするのが実情です。
完全制覇者たちが自費で投じているコストを照らし合わせると、その特異性が浮き彫りになります。彼らは自宅の庭や倉庫に数十万〜数百万円を投じて精巧な練習セットを自作し、遠征費やサプリメント代、シューズ代を日常的に捻出しています。関係者の証言でも「賞金目的で挑んでいる選手は誰一人いない」と断言される通り、彼らを突き動かしているのは金銭的インセンティブではなく、「己の限界を超えて鋼鉄の魔城を攻略する」という純粋な自己実現欲求に他なりません。