A接点とB接点の組み合わせが最も劇的な機能を発揮するのが、モータ制御盤で定番の電磁開閉器の動作原理と連携した「自己保持回路(Self-Holding Circuit)」です。機械制御を構築する技術者にとって、これはまさに掛け算の九九に匹敵する金字塔的回路です。
普段、作業者が指で押す起動ボタン(押しボタンスイッチ)は、指を離せばスプリングの力でA接点が引き離されて元の開状態に戻る「モーメンタリ形」が一般的です。もしA接点単体の導通だけに頼っていれば、指でボタンを押し続けている間しかモーターは回転しません。
そこで採用されるのが次の有接点リレーシーケンスの妙技です。
起動ボタン(A接点)を押すと同時に、電磁開閉器(マグネットスイッチ)の内部にある電磁コイルに電流が励磁されます。強力な磁力によって主接点が引き込まれて3相電力がモーターへ送られると同時に、側面にカチッと併設された「補助A接点」も閉状態になります。この補助A接点を、押しボタンのA接点回路に対して並列にバイパス接続しておくのです。
これによって、作業者が指を離して押しボタンのA接点が元通り開いてしまっても、並列に組み込まれた自身の補助A接点を経由して電磁コイルへの給電ルートがキープされます。これこそが「自己保持」の真髄です。
そして、この回り続けるモーターを止める役割を一手に担うのが、給電ラインの根元に直列で挟み込まれた停止ボタンの「B接点」です。停止ボタンを一瞬でも押し込むと、直列に繋がっていたB接点が物理的に口を開き、電磁コイルへの電流が完全遮断されます。電磁石の磁力は消失し、内蔵スプリングの反発力で主接点も補助A接点も元の状態へと跳ね返り、モーターは安全に停止します。
A接点で回路を生み出し、自身のか細い接点で状態を凍結させ、B接点という絶対的な遮断弁で息の根を止める。シーケンス制御の基本は、すべてこのシンプルなA・Bの調和によって紡ぎ出されています。