かつては「影の組織」として恐れられ、一般には遠い存在だった公安警察だが、近年のエンターテインメント作品を通じてそのイメージは大きく変化した。その火付け役となったのが、大ヒットアニメ映画『名探偵コナン ゼロの執行人』である。作中で「安室透」こと降谷零が魅せた、国を護る熱き公安捜査官としての姿は、若年層を中心に空前の公安ブームを巻き起こした。
さらに、TBSテレビの話題作ドラマ『VIVANT』の爆発的ヒットも記憶に新しい。作中では別班という架空の超法規的組織とともに警視庁公安部が描かれ、国家の裏で繰り広げられる知略戦が視聴者を魅了した。緊迫した警察サスペンス・スパイアクション作品の増加は、一般市民の防諜意識や治安維持への関心を高める役割も果たしている。
過度に美化されたフィクションと現実のギャップはあるものの、国家のために己を殺して暗闘する姿は、現代のストーリーテリングにおける強力な求心力であり続けている。