捜査の潮目が大きく変わったのは、特定の暴力団組織の関与が浮上した瞬間だった。特定危険指定暴力団「工藤会」系幹部である田中幸雄被告の存在が捜査線上に浮かび上がったことで、単なる個人的な恨みによる犯行という見方は排斥された。事件は一気に、裏社会の利権が渦巻く極めて組織的な犯罪としての様相を深めていく。
暗殺とも言える手口の鮮やかさ。自動二輪車を使った周到な逃走経路の確保。これらは個人の突発的な行動ではなく、組織の指令に基づいた緻密な計画犯罪であることを物語っていた。特定組織の「実行役」として動いた人物の背後に、いかなる巨大な指令体が存在したのか。闇はあまりにも深かった。