竹というローカルな素材を世界水準のアート・建築言語へと昇華させた歴史的転換点として、建築家・隈研吾氏の存在を外すことはできません。その象徴的傑作が、2002年に中国・北京の万里の長城付近に完成した『長城脚下の公社 竹の家(Great Wall Commune - Bamboo Wall)』です。
この作品で隈氏は、竹を単なる表面の飾りとしてではなく、空間を規定する構造的かつ詩的なフィルターとして再定義しました。壁を完全に遮断するのではなく、竹の隙間から光と風を透過させることで、自然と建築が溶け合う独特の境界線を生み出したのです。「重厚で閉鎖的なコンクリート建築」に対するアンチテーゼとして提示されたこの竹の家は、アジア発の建築思想として国際的に絶賛され、その後の世界的な竹建築ムーブメントの決定的な布石となりました。