汚言症とは?暴言が止まらない原因とトゥレット症候群の誤解を徹底解剖

汚言症とは?暴言が止まらない原因とトゥレット症候群の誤解を徹底解剖

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なぜ挨拶や世間話ではなく、よりによって「相手を最も傷つける言葉」や「場を凍りつかせる下品な単語」ばかりが口をついて出てしまうのでしょうか。これには、脳神経科学に基づいた明確な理由が存在します。

東京大学医学部附属病院のこころの発達診療部で長年治療と研究に携わる金生由紀子医師は、汚言症のメカニズムについて「強迫的・衝動的な色彩が非常に強い」と指摘しています。人間の脳は、社会生活を送るうえで「この場ではこの言葉を言ってはならない」という禁止事項を瞬時に検出し、大脳皮質から大脳基底核へと信号を送って行動を抑制(ブレーキ)しています。

しかし、汚言症の患者の脳内では、神経伝達物質であるドーパミンの過剰な活動や神経回路の不均衡により、この「脳内ブレーキ」が正常に機能しません。結果として、「絶対に口にしてはならないタブーである」と脳が強く意識すればするほど、逆説的にその言葉が脳内で強力に励起され、遮断できずに音声として発射されてしまうという現象が起こります。

健常者であっても、高い橋の上に立ったときに「ここから飛び降りたらどうなるだろう」と一瞬不条理な思考がよぎったり、静まり返った厳粛な儀式の最中に「今大声を出したらどうなるか」という衝動が頭をかすめたりすることがあります。通常の脳はそれを瞬時に打ち消しますが、汚言症を抱える人の脳では、その抑え込むべき思考の断片がダイレクトに口から飛び出してしまう状態にあるのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。