昼間はあんなに青かった空が、なぜ日没や日の出の時刻になると真っ赤な夕焼け・朝焼けへと変貌するのでしょうか。また、上空に浮かぶ雲が青くならず真っ白に見えるのはなぜでしょうか。
夕焼けが赤い理由は、太陽光が大気圏を通過する「距離(光路長)」の変化によって生じます。昼間は太陽が頭上近くにあるため光は大気層を最短距離で垂直に突き抜けますが、夕方になると太陽高度が下がり、斜めから差し込むため光が大気中を進む距離は昼間の約10倍以上にも達します。
長い距離を通過する間に、波長が短く散乱しやすい青い光は途中で四方八方に散らばり尽くし、地上に届く前に弱まってしまいます。その結果、散乱されにくく直進性に優れた波長の長い赤や橙色の光だけが減衰せずに私たちの目まで到達するため、空や地平線が燃えるような赤色に染まるのです。
一方で、雲が白い理由には「レイリー散乱」とは異なる「ミー散乱(Mie scattering)」が関わっています。ドイツの物理学者グスタフ・ミーが解明したこの現象は、光の波長と同等かそれ以上に大きな粒子(直径約1〜20マイクロメートルの水滴や氷の粒)によって引き起こされます。
雲を構成する水滴のサイズは大気分子に比べて数千倍から数万倍も巨大です。粒子が十分に大きい場合、光の波長の長さによる散乱強度の差は生じません。赤から紫までのすべての波長の光が均等に同じ強さで四方へ散乱・反射され、それらが人間の眼で再び合算されることで、雲は純白に見える仕組みになっています。