あの一連の独特なアドリブや過激な仕草は、どのようにして生まれたのだろうか。実は、冬彦のアイコンとなった「木馬に乗るシーン」や「蝶の標本収集」といった細かな設定は、佐野史郎自身の発案や現場での即興演技が大きく影響している。
当初の台本では、ここまでの怪キャラクターとして描かれていなかった。劇団「状況劇場」や「第三エロチカ」など、アングラ演劇の舞台で培われた佐野の鋭利な感性が、過剰とも思える演出を提示。監督やプロデューサーがそれを面白がり、現場の熱量とともにエスカレートしていったという。結果として、脚本の想定を遥かに超えた怪物が誕生することになった。