「シリンジ(syringe)」とは、気体や液体を吸い上げ、圧力をかけて押し出すためのピストン付き円筒形器具の総称です。医療現場で使われる注射器を英語で「syringe」と呼ぶことから同一視されがちですが、日本語の一般的な文脈においては明確なニュアンスの差が存在します。
最も大きなシリンジと注射器の違いは、「穿刺針(せんししん=針)が装着されているかどうか」という点です。一般的に注射器は薬液を体内に注入するための針を含めた器具一式をイメージするのに対し、シリンジは針を含まないプラスチックやガラス製の筒本体(針なし注射器)を指すケースが主流となっています。
基本となるプランジャー・外筒の構造は、極めてシンプルかつ精密です。目盛りが刻まれた透明な筒部分を「外筒(バレル)」、その内部に差し込まれて液体を押し出す軸棒を「プランジャー(押し子)」と呼びます。プランジャーの先端には気密性を保つためのゴム製「ガスケット」が装着されており、この3つの部品が生み出す陰圧と陽圧によって、1ミリリットル以下の微量な液体でも狂いなく正確に計量・移送できる仕組みです。