関西演芸界に計り知れない衝撃が走ったのは、2015年8月5日のことでした。吉本新喜劇の元座長であり、関西を代表する喜劇俳優として一時代を築いた花紀京が、入院先の大阪市内の病院で息を引き取りました。死因は肺炎、享年78(満78歳没)でした。
晩年の花紀京は、病魔との過酷な戦いを強いられていました。異変が起きたのは2002年10月、滞在先のホテルで体調不良を訴えて救急搬送され、脳梗塞と診断されます。幸いにも一命を取り留めたものの、右半身の麻痺や言語への影響が残り、長年立ち続けた舞台への復帰は極めて困難な状態となりました。一時は懸命なリハビリを重ねて復帰を模索した時期もありましたが、本人が愛した「完璧な間」を舞台上で再現できない葛藤もあり、事実上の引退状態となって自宅および施設での療養生活に入りました。
公の場から姿を消したあとも、劇団員やファンからは復帰を願う声が絶えませんでした。しかし、2003年3月に正式に吉本興業を通じて休養と事実上の引退が示され、以降はメディアへの露出を完全に断ちました。晩年は車椅子での生活を送りながらも、時折訪れるかつての仲間や後輩たちを穏やかな笑顔で迎えていたといいます。舞台上では圧倒的な鋭さを見せていた天才役者が、静かに、そして誇り高く駆け抜けた最期でした。