極道の息子から歌舞伎の頂点へと上り詰める喜久雄を演じたのは吉沢亮。そして、歌舞伎の家に生まれ、才能と血筋の狭間で苦悩する俊介を演じたのは横浜流星だ。若手実力派の筆頭とされる二人が、文字通り役者生命をかけて挑んだ。
二人はクランクインの1年以上前から、歌舞伎特有の立ち振る舞い、着付け、発声、そして舞の猛稽古を開始。女形の繊細かつ優美な指先の動きや、目線の配り方を身体に染み込ませる作業は過酷を極めた。現場の関係者によれば、稽古のあまりの激しさに爪が割れ、足の皮が剥がれることなど日常茶飯事だったという。
指導にあたった歌舞伎関係者からも「本物の役者が数年かけて習得する所作を、数ヶ月で身体に叩き込んだ」と驚嘆の声が上がるほどだ。画面に漂うあの鬼気迫る美しさは、CGでもスタントでもない、二人の役者自身の血と汗の結晶である。