2026年現在、地球規模の海洋環境の変化は、新たな形で海の幻影を生み出しつつある。海水温の上昇に伴う海洋保護区の生態系変化や、伊豆・小笠原海溝沿いで活発化する海底火山活動はその最たるものだ。
海底火山から噴出する微細な軽石や硫黄成分は、海面を広範囲にわたって漆黒や変色域に変える。夜間にこれが月光を反射すると、あたかも海面全体が蠢く巨大な生き物のように見える。また、特定の微細藻類が大発生する「赤潮」ならぬ「黒潮異変」も目撃されており、従来の自然観では測れない現象が相次いでいる。
古代の船乗りたちが海坊主と呼んで恐れた漆黒の影。それは時代を超え、環境の変化とともに形を変えながら、今なお我々の前に姿を現しているのかもしれない。