映画界で確固たる評価を得た西田は、2000年代以降、テレビドラマの現場でもその存在感を遺憾なく発揮していく。サスペンス、ホームドラマ、社会派エンターテインメントとジャンルを問わず、彼女が演じるキャラクターは常に物語に深い奥行きをもたらしてきた。
社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ『半沢直樹』では、東京中央銀行の開発投資銀行部次長・谷川幸代役として登場。巨大な権力構造がぶつかり合う重厚な男たちのドラマの中で、冷静沈着なプロフェッショナルとしての誇りと信念を凛とした佇まいで体現し、視聴者から絶賛を浴びた。声のトーン、視線の配り方ひとつで組織の論理と個人の倫理の狭間を表現する姿は、まさに名バイプレイヤーの真骨頂だった。
一方で、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で見せた母親・橘小しず役の滋味深い演技も記憶に新しい。激動の昭和初期を生き抜く家族の温もりと、戦争によって引き裂かれる日常の哀切を、抑えた感情表現の中に滲ませた。壮大なヒューマンドラマの根底にある「暮らしの手触り」を視聴者に届ける力において、彼女の右に出る者は少ない。