骨盤の前側中央に位置し、左右の恥骨をつなぐ軟骨性の結合組織。通常、この隙間は4〜5ミリメートル程度に保たれ、強固な靭帯によって骨盤の安定性を維持している。しかし、妊娠に伴い分泌が急増する女性ホルモン「リラキシン」の作用によって関節や靭帯が緩み、胎児の産道通過を助ける生理的変化が起こる。
問題は、この緩みが限界を超え、外力や出産時の負荷によって結合部が異常に離開してしまう点にある。産婦人科学の知見によれば、離開の幅が10ミリメートルを超えると明らかな病的状態とみなされ、体幹を支える骨盤のリング構造が破綻する。日本産科婦人科学会でも産褥期の運動器トラブルに関する啓発が進められているが、外見からは負傷の程度が見えにくいため、周囲からの理解不足が患者の精神的負担をさらに重層化させている。