アニオンギャップ計算と基準値|代謝性アシドーシス鑑別の公式と補正法

アニオンギャップ計算と基準値|代謝性アシドーシス鑑別の公式と補正法

アニオンギャップ計算と基準値|代謝性アシドーシス鑑別の公式と補正法を詳しくリサーチ! 知っておきたい 重要ポイントを分かりやすく展開します。

「AGが開大しているから開大性代謝性アシドーシス単独である」と短絡的に結論づけるのは極めて危険です。臨床現場で頻繁に遭遇するのが、2つ以上の酸塩基平衡異常が重複した「混合性酸塩基平衡異常」です。

その隠れた異常を白日の下に晒すのがデルタギャップの計算(ΔAG / ΔHCO₃⁻ または Δ-Δ比)です。

ΔAG = 補正AG - 12(基準値)
ΔHCO₃⁻ = 24(基準値) - 測定HCO₃⁻

純粋なAG開大性代謝性アシドーシスであれば、産生された酸1分子に対して重炭酸イオンが1分子消費されるため、理論上のΔAG / ΔHCO₃⁻比は1.0〜1.6程度になります。この比率が崩れている場合、以下の病態が重複して存在していることを意味します。

  • ΔAG / ΔHCO₃⁻ > 1.6(または ΔAG - ΔHCO₃⁻ > +5):重炭酸の低下がAG上昇分より少ない状態。すなわち、激しい嘔吐や利尿薬投与、慢性呼吸性アシドーシスの代償機転などによる「隠れた代謝性アルカローシス」の合併を示します。
  • ΔAG / ΔHCO₃⁻ < 1.0(または ΔAG - ΔHCO₃⁻ < -5):AGの上昇以上に重炭酸が激減している状態。下痢の併発や大量生食負荷、RTAなど「正常AG(高クロール性)代謝性アシドーシス」の合併を示します。

敗血症(乳酸蓄積)を起こした患者が頻回に嘔吐(胃酸喪失によるアルカローシス)しているような複雑な症例では、pHが見かけ上正常値付近(7.35〜7.45)にとどまることがあります。デルタギャップを計算して初めて、体内で激しい2つの病態が衝突している事実を検出できるのです。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。