「CCGの死神」「無敗の捜査官」として絶対的な強さを誇り続けた有馬貴将。彼が放つ言葉は、常に淡々として感情の起伏を感じさせないものでした。しかし『東京喰種:re』第8巻、コクリア(喰種収容所)の地下深層で金木研(佐々木琲世)と刃を交えた最期の瞬間に、その鉄仮面は音を立てて崩れ去ります。
「有馬貴将を殺した喰種がお前だ」
半人間として生まれ、常人よりも遥かに早い速度で身体が老化していた有馬は、自らの余命が僅かであることを悟っていました。彼は和修家が支配する歪んだ世界のシステムを打破するため、エト(高槻泉)と共に「喰種たちの希望となる隻眼の王」を自らの手で育て上げるという壮大な計画を進めていたのです。自らの首をクインケで切り裂き、命を落とす間際、有馬はカネキにこう吐露しました。
「僕はずっと 奪うことしかできなかった 誰かに何かを遺せたのは 初めてだ…」
喰種を殺戮し続けることしか許されなかった「死神」が、生まれて初めて次代へ命のバトンを渡すことができた喜び。この告白によって、有馬貴将という男が抱え続けていた底知れぬ孤独と人間らしさが白日の下に晒され、多くの読者の涙を誘いました。