観音山の豊かな緑に包まれて白く輝く高崎白衣大観音(正式名称:白衣観世音菩薩)は、高さ41.8メートル、総重量約5,985トンに及ぶ壮大なスケールを誇ります。建立された1936年(昭和11年)当時、コンクリート造りの観音像としては東洋一の大きさを誇り、国の登録有形文化財にも登録されている近代仏教建築の傑作です。
この大観音の建立を主導したのは、高崎市出身の実業家である井上保三郎(いのうえ やすさぶろう)氏でした。井上氏は私財を惜しみなく投じ、当時としては最先端の土木技術を結集してこの事業を成し遂げました。その背景には、泥沼化する戦争に向かっていた時代背景のなかで、郷土の精鋭であった「高崎歩兵第15連隊」の戦没者慰霊と、世界平和への切なる祈りがありました。同時に、大恐慌後の地域経済を活性化させ、高崎市民の心の拠り所と観光資源を創出するという崇高なビジョンが込められていたのです。
現在、観音像の管理および祭祀を執り行っているのは、鎌倉時代創建の由緒を持つ高野山真言宗 別格本山 慈眼院(じげんいん)です。もともとは高野山に位置していた寺院でしたが、観音像の建立に伴い、昭和期にこの観音山の地へと移転・再興されました。今では厄除けや家内安全はもちろん、後述する縁結びの祈願寺として全国から参拝者が絶えない一大霊場として定着しています。